管理栄養士、お野菜料理家の今村結衣です。0歳と3歳の子を持つ母であり、日々の生活の中で子どもたちと野菜を楽しんでいます。
食育コラム『東京の恵みdeおうち食育』の第3シリーズ、色で楽しむ東京野菜の「きみどり」編をお届けします。
このシリーズでは、五感の中でも1番の刺激となる「視覚」を使った、おうち食育のレシピやポイントをご紹介しています。
大人も子どもも一緒になって、色の視点から東京野菜の魅力を再発見していきましょう!
〈目次〉
1.新緑の季節は「きみどり」の季節
2.青梅清水農園の「のらぼう菜」の 菜の花
3.【レシピ】菜の花のお米ポタージュ
4.「きみどり」の食育ポイント
5.まとめ
今回のテーマ色は、「きみどり(黄緑)」色。
新緑の季節である5月に楽しむにはぴったりの色です。黄色と緑の組み合わせでできた色で、植物が芽吹くような明るくて爽やかな印象を与えます。
入園、入学、新学期や新生活などチャレンジの多い春を応援してくれる色です。
緑色の色素は、葉緑素(クロロフィル)と呼ばれる栄養素です。葉緑素は、植物が光合成を行うために欠かすことができません。太陽光を利用して二酸化炭素と水を光合成によってエネルギーに変える重要な役割を果たします。主な効能としては、増血作用や抗菌作用が挙げられます。
青梅清水農園の「のらぼう菜」の 菜の花。
今回使用したのは、東京都青梅市にある清水農園の「のらぼう菜」の菜の花。
こだわりの農法でファンも多く、野菜一つ一つに丁寧な説明書きが添えられています。
“江戸東京野菜”の一つでもある「のらぼう菜」は、苦味が少なく甘みがあり、子どもでも食べやすいのが特徴です。
栄養価が高い野菜でもあり、生命力の強さと豊富な栄養素で大飢饉を救ったとも言われています。
多様な調理法で楽しむことができ、サラダにしたり、炒め物やスープに加えたり、おひたしや煮物にしても美味しく、料理のバリエーションが広がります。
【レシピ】菜の花のお米ポタージュ
「のらぼう菜」の菜の花をたっぷりと使った、離乳食としても楽しめるポタージュをご紹介します。
シンプルな材料で作れて、塩加減を変えるだけで大人も赤ちゃんも一緒に楽しめますので、ぜひ作ってみてくださいね。
※今回は「のらぼう菜」を使いましたが、他の菜の花でもOKです。
材料
・菜の花 100g
・ごはん 60g
・水 100ml
・無調整豆乳 150ml
・塩 小さじ1/2〜
・オリーブオイル 大さじ1
作り方
① 菜の花は、1.5cm幅程度に細かく刻む。鍋にオリーブオイル、つぼみ部分以外の菜の花、塩ひとつまみ(分量外)を入れて炒める。
② 色が鮮やかになったら、少量の水とつぼみ部分を入れてフタをし、弱火で3分加熱する。
③ 2〜3個のつぼみを飾り用として取り出したら、ごはんと水100mlを加えて火加減を中火に戻し、煮たったら火を止める。
④ 豆乳を少しずつ加えながら、なめらかになるまでブレンダーにかける。塩を加えて味を整えたら、沸騰させない程度に温める。
⑤ 皿に盛り付け、飾り用のつぼみをトッピングする。お好みでオリーブオイルや黒胡椒をかける。
レシピPOINT
▪炒めてからさらに弱火で蒸すことで、茎が柔らかくなるだけでなく、苦味を抑え、甘みを引き出します。
▪豆乳は牛乳でも代用可能です。
▪オリーブオイルを米油に変えるのもオススメです。クセのない油で菜の花の味を引き立てます。
▪塩加減はお子さま用を取り分けてから、大人用に塩を追加して味を見ながら調整をしてみてください。
「きみどり」の食育ポイント
子どもが緑系の野菜を嫌う理由として、味覚がまだ発達していないため、人間の本能により苦みや風味の強さが苦手だと感じることがあります。
さらに、子どもにとっては、他の食材と比べて食感が異なることも理由の一つです。
美味しく食べるための食育ポイントをいくつかご紹介します。
【一緒に料理を作る】
子どもが自分で野菜を洗ったり、切ったりする経験を通じて、興味を持って食べるきっかけになります。
ポタージュのレシピでは、菜の花を炒める、ブレンダーにかける、豆乳を加えるなど、簡単な調理を一緒にやってみましょう。
【食べやすい形や味に調理する】
柔らかくて食べやすい形に調理することで、子どもにも受け入れやすくなります。
また、葉物野菜は苦味を抑える調理工程が大切です。油と合わせて炒め、蒸らしの工程で甘みを引き出すことで、食べやすい味になります。
【楽しく食べる工夫をする】
ポタージュレシピでは、菜の花のつぼみを飾ることで見た目を華やかにし、興味を持つきっかけを作ることができます。
見た目の可愛らしさも大切です。緑色の色素は熱と酸に弱いため、色良く仕上げたい場合には、注意が必要です。
【美味しく一緒に食べる】
料理を観察したり、香りを嗅いだり、どんな味かを説明したり、楽しい会話の中で料理を味わいましょう。
まとめ
今回の「きみどり」編では、青梅市の青梅清水農園さんの「のらぼう菜」の菜の花で、東京野菜の「きみどり」色を楽しみました。
一番大切なことは、子どもが自発的に興味を持ち、楽しみながら野菜を食べることです。
本能的に色や味で苦手とする野菜も、楽しい食経験によって美味しく食べることができるようになります。
おうち食育を通して、ぜひ東京野菜に親しみを持つキッカケ作りをしてみてくださいね。
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管理栄養士
今村 結衣/IMAMURA YUI
管理栄養士、お野菜料理家。二児の母。
カット野菜工場など青果物流通業の会社員を経て、野菜の切り方教室や記事執筆、野菜染めグッズ販売など野菜に関する分野を中心に活動。
野菜を美味しく食べることが生きがいで、素材の味を生かしたレシピ作りが得意。
Instagram【 #やさあいレシピ 】で200レシピ以上公開中。
▼ https://www.instagram.com/ponsan.68/