縁起物のイセエビ
おめでたい象徴にされるエビの中でも、「イセエビ」は、腰が曲がり、髭の長い外見から不老長寿に例えられます。また、長い触角を振りたて、固い殻を持つ姿が勇ましい武士を連想させるため、最上の縁起物とされてきました。
イセエビは、幼少期が300日以上、さらに食べられる大きさになるまで3年以上かかり、
大きくなっても共食いしてしまうので養殖が困難で、天然ものしか出回らないそうです。
食品成分 | イセエビ | |
---|---|---|
廃棄率 | 70% | |
エネルギー | 92kcal | |
水分 | 76.6g | |
たんぱく質 | 20.9g | |
脂質 | 0.4g | |
炭水化物 | 0g | |
灰分 | 2.1g | |
重量 | 100g |
体色は赤褐色。触角の付け根の甲板に一対の大きい棘があります。体長30cm、体重約1kg。茨城から台湾・中国に分布しますが沖縄には見られず、分布の中心は本州、四国、九州沿岸。東京の海域では、伊豆諸島全域に生息しますが、南部ほど少なくなっています。伊豆・小笠原諸島における漁獲量は年間約40t。
おめでたい象徴にされるエビの中でも、「イセエビ」は、腰が曲がり、髭の長い外見から不老長寿に例えられます。また、長い触角を振りたて、固い殻を持つ姿が勇ましい武士を連想させるため、最上の縁起物とされてきました。
イセエビは、幼少期が300日以上、さらに食べられる大きさになるまで3年以上かかり、
大きくなっても共食いしてしまうので養殖が困難で、天然ものしか出回らないそうです。
今回、伊豆大島で、イセエビの刺し網漁のお手伝いをさせていただきました。
竹芝桟橋から高速船で2時間弱、調布の飛行場からは、たった25分で伊豆大島に到着します。
伊豆大島の周囲は岩礁が多く、黒潮の流れもあり、水温が温かいためイセエビが生息するのに適した場所だそうです。
伊豆大島漁業協同組合の事務所は岡田港のすぐ近くにあります。まずはご挨拶に伺いました。
イセエビは夜行性のため、漁は網を使い、深夜から早朝にかけて行われます。
見せていただいた刺し網は、テニスコートのネットのような網に浮きと錘が付いていました。
船から海に網を仕掛け、からだが絡まったイセエビを捕まえます。海に潜って網を仕掛けるやり方もあるそうです。
漁港でイセエビがかかった網の入ったかごが船から引き上げられるのを待ちます。
網にはイセエビ以外に、ところてんの原料になるテングサや魚もかかってました。
漁師さんからフックのような形の「手カギ」を渡され、網からイセエビを外すやり方の説明を受けました。
怒ったイセエビが、かごの中でギーギー鳴いて大暴れしていました。
イセエビは腹側に尻尾をすごい勢いで打ち付けて暴れるので、背中側の足の脇あたりを持ち、尻尾側から手鉤を使って網を外していきます。
丁寧に外さないと足やひげが折れてしまって価値が下がってしまうので気をつけながら作業します。
正直言うと、最初はちょっと腰が引けてましたが、何匹かやってるうちに慣れて外すのが早くなりました。
カゴに入れながら、目の付け根から尾の先までの長さが13cm以下のイセエビは東京都の漁業調整規則で決まっているためリリースします。資源保護のため6月1日から8月31日までイセエビの禁漁期間を設けています。今回、獲れたイセエビは13cm以下のものはありませんでした。
網からイセエビを外し終え、オスメスの見分け方を教わりました。
一番下の肢先が二股に分かれて小さなハサミになっていて、腹のあたりの団扇のような形の肢が大きい方がメスです。卵を抱くときに、この肢を使うそうです。
腹の肢が小さくてすべての肢先が尖っているのがオス。からだのサイズが全体的に大きいのも特徴です。
イセエビ漁の漁師さん達は、夜中漁をして昼間は網のお手入れをしているそうで、漁のある間は休みなく働いていらっしゃるそうです。
お忙しい中、丁寧に教えてくださって本当にありがとうございました!
島のお寿司屋さんにお願いしてイセエビを持ち込み、お刺身にしていただきました。
透明感のある黄金色に輝くお刺身は、柔らかくて甘みがあります。
頭はお味噌汁にしていただき、イセエビの味噌が溶け出したうまみがギュッと凝縮された味を楽しみました。ごちそうさまでした!
平野 充さん
島田さん
生きたイセエビを家庭でさばくときは、氷水に漬けると大人しくなります。
刺身やボイル、味噌汁などで召し上がってください。